クリムトとシーレを尋ねる旅

どういう経緯か、学生(美術を専攻していたのではありません)の頃から気になっていた二人の画家、グスタフ・クリムトエゴン・シーレ

二人はオーストリアを代表する有名な画家で、影響を受けるのは決して稀なことではないはずなのですが、なぜか私はその二人のつながりを知らず、素性もストーリーも知らず、どこかで見かけた彼らの作品画像に惹かれて別々に興味を抱いたのでした。

線のタッチや表現の共通点に惹かれたのですが、あとで調べて互いに影響を受けあった画家であったのだと解って、なるほどと思ったものです。

ウィーンを旅してみようと思ったのは、そんな二人の作品たちをこの目で一度見て見たいと思ったから。やはり百聞は一見にしかず、です。

 

まずはじめに訪れたのは、レオポルドミュージアム

クリムトの作品もいくつかありますが、ここはエゴン・シーレの作品を世界最一コレクション所有していることで有名な美術館です。

シーレといえば、エロスたっぷりな男女の裸体を描いた作品が多い画家さんですが、その昔は風景画を描いたりもしていた。この美術館はそんなシーレらしくはない作品も多く鑑賞できる、数少ない美術館です。

28年間という短い人生で、こんなに沢山の素晴らしい作品を残したシーレの奇才ぶりは映画化されたりもして、そのあまりにも尋常でない生き方に注目が集まりますが、作品を見ていると、ただこの人は体から溢れ出るエネルギーを、そのままキャンパスの上に表現していただけなのではないのかな、なんて思ったりしました。

 

 

ナルシストと言われの高いシーレは、自他共に認めるかなりの美男子だったそうで、セルフポートレートも多く描いています。左はその中でも代表作と言われる自画像。この自画像は、シーレの元恋人であるヴァリのポートレートと並んで掛けられています。上の写真だと近く見えるのですが、ちょっと間を詰めて加工させてもらったので、本当はもっともっと離れて並んでいるのです。

ヴァリはシーレの恋人であり、モデルであり、身の回りの世話をしてくれたり、作品を販売するのを手伝ってくれたりなど、多方面からシーレをサポートしてくれる存在だったそうで。ところがシーレがアトリエを挟んで向かいに住んでいたお金持ちの娘、ユーディットとの結婚を決めたことから、ヴァリはシーレの元を去り2度と会うことはなかったのだといいます。数えきれない女性達と関係してきたシーレでしたが、ヴァリだけはその中でも特別な存在ではなかったのかと、シーレの研究をされている方が語っている動画か上映されていました。

そんな二人の肖像画が、同じ壁に並びつつも、こんなに距離を開けているのが、なんだか切ないな、なんて思いました。

 

 

クリムトの代表作の一つ。『生と死』。

クリムトの作品といえば、接吻に代表されるように金箔を大胆に貼り付けた豪華さが特徴だけれど、こちらの作品はお花畑のようないつもの華やかな部分も存在しつつ、全体的には暗くおどろおどろしい印象の作品です。ローマ国際美術展で1911年に一位を獲得したのちに、5年もの長い年月をかけて加筆修正されたといわれるこの作品、元々は金箔が貼られていた部分が暗い緑色へと修正されたり、生の中の人々が加筆されたりして、死の世界に取り巻かれた儚い生が強調されたような作品となりました。

近くで見ると、筆使いが生々しい。やはり実物を近くで見れる感動はひとしおです。

 

 

建物全体が白い石灰岩で覆われた巨大なキューブの内部は、贅沢にスペースをとっていて明るく開放的な空間が広がる。

素敵な美術館は世界中にたくさんあるけれど、ここはその中でも特別に気分を上げてくれる空間の一つなんじゃないかと思っています。

全ての絵画を鑑賞し終わった後でもなお、まだこの空間に佇んでいたいような….

 

 

たまたま美術館にいらしたこの女性、なんだか気になって、目で追ってしまって…笑

歳を取っても、髪が真っ白になろうとも、ずっとずっとこんな風におしゃれな女性で居たいなと思いました。

 

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