ヴィヴィアン・マイヤーのように

この世を去ってから世界に大注目されたフォトグラファー、ヴィヴィアン・マイヤー(Vivian Maier)

映画にもなったこのミステリアスな女性フォトグラファーのストーリーは、私の心にも鋭く刺さって、吸い込まれるように彼女の写真を見つめたものでした。

その衝撃から数年経った今でも彼女の写真を見ると、魔法でもかけられたかのようにその前に貼り付けられて、動けなくなってしまうようなパワーを放っています。

 

相当な変わり者で、プライベートを生涯誰にも明かさなかった彼女が生涯撮りためた大量の写真。

彼女の死後に、偶然ガラクタ市で競り落としたコレクターに発見される事は、きっと運命だったんだろうなあ。

 

彼女のストーリーについては、とても詳しく解説してくれているサイトがいくつもあるので、そちらを参照していただくと良いと思います。

 

誰に見せるためでもない

自身の心が動くまま

惹かれるままにシャッターを押し

切り取られたその一コマは

見る人を一瞬にして

その瞬間に連れてゆく

 

彼女の写真は構図やモチーフも素晴らしいのだけれど、そんな写真の基本からは外れたところに魅力があるような気がします。

撮っている本人は、そんなことをこれっぽっちも気にしていないような、誰になんと思われようと、どんな評価をされようと、そんな事は本人にとってはどうでも良い事だったのじゃないかと。

シャッターを押していた本人が世界で一番、その写真(その瞬間)を最高と思っているのかもしれない。

人生で出会ってきた印象的な瞬間たちを、彼女はただ収集してきただけだから。

だからその瞬間の風や香りや音までも伝わって来るような、躍動的な写真が撮れたのかもしれない。

 

完全に他人の目を気にしない。

この視点を完全に貫き通すと、それは意外にも、他人の目にも強力なパワーを放つのかもしれないなあ。

 

彼女の写真たちを目撃することができて、本当に幸せだと思いました。

 

彼女の写真はホームページにもたくさん掲載されているので、誰でも気軽に写真を見ることができます。

彼女は鏡やガラスに映った自分の姿もたくさん撮っていて、私もそういえば、そんなセルフポートレートをよく撮っていると思ったら、少し嬉しくなりました。