南チロル・素敵なインテリアのスパで静かな週末

イタリアの南チロル地方ってご存知ですか?
ヨーロッパでは知られた観光地ではありますが、日本の方にはあまり馴染みのない土地かもしれません。

スイスに国境を接する山岳地帯に位置する南チロルは、イタリアといえども、どちらかといえばスイスのドイツ語圏やオーストリア、ドイツなどに文化の近い、おそらく多くの方がイタリアに抱くイメージとは異なる文化を持つ地域です。

実際にこの地方は、中世の時代にオーストリアのウィーンを中心に栄えたハプスブルク家の支配下に置かれていて、第一次世界大戦が終戦するまではオーストリア領でもありました。
チロル地方はオーストリアにもあり、イタリアの南チロル地方の隣に並んでいて、オーストリア側は北チロルと呼ばれます。
ドイツ語圏の山岳地帯らしい建築物が多くみられますが、主要言語もドイツ語となっており(イタリア語とドイツ語の二か国語地域)、スイスから国境をこえてやってきても、外国へ来たという感じはあまりありません。

オーストリアのインスブルグが最寄りの飛行場となりますが、日本からは週末だけのショートトリップに来るのは大変なので、ミラノやベニスなどに旅行したついでに、もしくはオーストリア旅行やスイス旅行のついでに、プログラムに組み入れる感じが合うでしょうか?

観光地の人混みを忘れて、1日だけでもホッとゆっくりする時間を作れたら、日本からはるばる訪れたヨーロッパ旅行をひときわ贅沢に演出できますね。
そんな風に自由にプランが組めるのは、個人旅行の醍醐味かもしれません。

VIGILIUS MOUNTAIN RESORTは、オープン当時に一度訪れて、数年後に再び足を伸ばした特別な思い入れのあるスパホテルです。
決してリーズナブルとは言えないかもしれませんが、このゆったりとした空気は他のホテルではなかなか味わえないと思うので、慌ただしい日常を生き抜いた自分へのご褒美として贈ってあげたいと思うのです。

今回はオフシーズンの11月、しかもお天気があまりよろしくない週末に訪れたもので、寒々しいく暗い写真しか取れなかったのですが、少しでもこのゆったりした空気感をお伝えできればと思い、拙い写真をお見せしながら記事を綴っていきたいと思います。

デザインは南チロルで生まれ育った建築家マッテオ・トゥーン(Matteo Thun)さんが手がけています。
この建築家さんは、無垢の材木をシンプルに美しくデザインする建築家さんというイメージがあったんですが、最近では建築家としてばかりでなく、家具やテーブルウエアーなどのプロダクトデザインも多く生み出しておられるらしい。参考リンク→
世界的に活躍する建築家さんではありますが、彼の地元である南チロルに、ここの他にもいくつかスパホテルを手がけておられます。

こちらのホテル、新築だった頃はまだ木のファサードが鮮やかな色をしていていましたが、10年以上の時を経て、建物全体がすっかり落ち着いたグレーに変色しました。
葉が落ち草が枯れて色が少ない初冬の山の景色の中で、建物の輪郭がはっきり見えないくらいに自然に溶け込んでいます。

外観も内観も、無垢の木を中心に自然の材料を使ってデザインされているので、暖かくホッとする雰囲気が空間を占めます。モダンで機能的な設計が施されているのに、佇まいはどこか素朴な山小屋の様でもあったり…。
地元の農家で獲れた果物がお部屋に置いてあったり、手作りのシロップがウェルカムドリンクとしてサーブされるという、まるでおばあちゃんのおうちに遊びに行った様な、気取らないサービスが嬉しいです。

ここで言っているウェルカムドリンクとは、一番上の写真の右手前に写っている小瓶のことです。写真を撮った時にはすでに飲み終えてしまった、アップルシナモンのシロップがやたらと美味しくて、チェックアウト時にレセプションのお姉さんに絶賛したら、お土産にと2本いただいてしまいました^^ 余談ですが…笑

バスルームも贅沢に無垢の木をふんだんに使ったデザインになっていて、なんだか濡らさない様にと無意識のうちに気を使ってしまいますが、機能的で決して使いにくいバスルームではありませんでした。

間接照明があちこちに施されていて、暖かい光がお部屋全体に広がり、ライトアップすると昼間とは全く違った豪華な雰囲気となります。見た目はとても綺麗ですが、照明の熱で材木が膨張&収縮を繰り返すので、スイッチを入れたばかりや消したばかりは、部屋中がバキバキ軋んで大合唱を始めるという… 自然の摂理なので仕方がないのでしょうが、結構すごい音がします…笑 もちろんしばらくすれば静かになります。

エコホテルとして、エネルギーを極力使わない方針で運営されているホテルなので、お部屋の設定温度が低いという点は、一つ要注意が必要かもしれません。
ガイドに注意書きがされていて、寒い場合は遠慮なくお申し付けくださいとのことだったので、私は毎度、遠慮なく室温をあげていただける様にお願いしています。もちろん快く了承してくれるので、寒がりな人は遠慮せずに一言お伝えするべきだと思います。

スパとレストランは写真が撮れなかったので、上の写真は私が撮影したものではございません。

レストランは二つあって、お皿の上にアートの様に綺麗に盛られた創作料理が楽しめる、お上品なレストランと、郷土料理が楽しめるカジュアルなレストランと、二つのレストランがホテル内に併設されています。どちらも地元で採れた新鮮なオーガニック素材を使ったお料理をサーブしてくれるレストランで、一度お食事してみる価値のあるレストランだと思います。できれば2日滞在して両方楽しめたら最高ですね。

ちなみに、こちらのホテルはゴンドラで山を登った上にあり、ホテル内で食事をとるものと考えるのが基本です。希望があればゴンドラで下の街まで降れば良いし、30分ほど歩いたところにも小さなレストランもあるのですが、冬場は特に夜は辺りが真っ暗になるので、ホテル内でゆっくりするのが得策かと。

LANAの町のゴンドラの発着駅にホテル専用の駐車場があり、そこに車を止めてからゴンドラに乗り変えて、ヴィギリウスヨッホ(Vigiliusjoch)の上に登る形になります。

私は一度山の上に登ったら、チェックアウトまではホテル付近やホテル内でひたすらゆっくり過ごします。

時間が合えばヨガのレッスンに参加したり、昼間は辺りを散歩したり、スパでくつろいだり….別料金でマッサージやエステの予約を入れることもできます。

ヨセミテの山々を一望できる景色のとても美しいところにあるので、ただ長椅子に座って静かに景色を眺めるだけでも、日向ぼっこするだけでも、とても癒されます。

ちなみに私は、そういう静寂を楽しみにわざわざ人里離れたところに行くわけです。

 

オフシーズンにいつも訪れる理由は、宿泊費がハイシーズンの半分くらいになることや、ゲストが少ないというメリットがあるから。
スパが静かで、ほぼ貸切の様な状態で使えると、本当にリラックスできます。

運が悪いと、悪天候で外に出られないこともあるだろうし、ヨガのクラスやホテル内のアクティビティーが減ったり、レストランが一つしまっている日があるなど、デメリットもあります。

Booking.comの評価を読んでいると、ゲストが多くてうるさいと感じたり、子供が騒いでいてくつろげなかった、という声もハイシーズン中はある様で….。

だから個人的にはオフシーズン中が狙い目だと思っています。



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