安藤忠雄展・パリ/ポンピドゥセンター

安藤忠雄展 -挑戦-が、パリでも開催される事になったと聞いてどうしても行きたいと思った。2017年に東京の国立新美術館で開催されていたものがほぼそのまま輸入されるのだそうだ。

2018年の10月からポンピドゥセンターで開催されていたTADAO ANDO LE DEFI(安藤忠雄・挑戦)にようやく足を運べたのは、12月27日。12月末までの開催だったので、最終日の4日前のことだった。

建築とは絵画や彫刻とは違い、誰もが気軽に興味を持つものではない少々敷居の高い分野かと思っていたが、ポンピドゥセンター本館の入り口で40分並び、更には安藤忠雄展の入り口でも30分並んでの入場という、夕方の5時〜6時にも関わらず大混雑のために入場制限が敷かれるほどの大盛況ぶり。

安藤忠雄さんは日本ばかりではなく、世界中にファンを抱えておられる大建築家なのだということを、目の当たりにした。

 

展示の内容は、東京での展示にパリの企画委員会が少々アレンジを加えたものだという。

東京での展示は閲覧できなかったため、期待が高まる。

 

 

安藤忠雄さんの一ファンである私は昔から情報を追ってきているので、基本的に新しく見るものはほぼ無いのだが、ファンとしては安藤さんのスケッチや、図面、模型の数々を見るのは、何度目であっても嬉しいもので。
それが、安藤さん自身もパリへ来る時には必ず足を運ぶという、ポンピドゥセンターに展示されている光景を目の当たりにすることも、その空間に身を置くことができるのも、とても恵まれたことなのでは無いかと思った。

 

 

直島の巨大プロジェクトの大きな模型と主に、湾曲したスクリーンに映し出される、美しい瀬戸内海を背景に安藤さんの凛とした建築が広がる映像は、この展覧会のハイライトだったと思う。

人々は言葉少なく、その薄暗い空間に浮かび上がる幻想的な光と景色に、酔いしれているようだった。

 

 

 

安藤さんの建築は、近代的な材料を使って幾何学的な形態を組み合わせた、モダン建築の極みではあるのだけれど、安藤さん自身が歴史や文化、自然を深くリスペクトしているせいか、見事なまでに全てが景観に馴染んで、そこにもともと広がっていた自然の一部みたいに佇んでいる。

私は個人的に、彼の作品の図面を見るのが大好きで、時間があればいつまででも見つめていることができる。
じっと見つめていると、何だか設計段階での安藤さんのアイデアやワクワクが感じられるようで、楽しくなってしまうのだ。

 

 

展示の最後には、安藤さんのインタビュー映像が流れていて、夜の8時だったか、9時だったか、なかなか遅い時間だったのにも関わらず、たくさんの人が真剣にその様子を視聴していた。

 

 

2018年12月現在、77歳の安藤忠雄さん。昔に比べたら貫禄が増して随分と歳をとったけれど、そのエネルギーの強さは昔からずっと変わらない。

まだまだこの場に存在していたい気持ちを抑えて、会場を後にした。

 

 

ポンピドゥセンターは安藤さんの友人でもある、イタリア人建築家・レンゾ・ピアノさんの設計として有名なパリの美術館であるのだが、安藤さんの建築展が終了しても、何度でも足を運べる面白い美術館だと思う。

まずは、コンペが行われた当時から論争が続いたというその外観。通気口や給排水感などの太いパイプが丸出しになったファサードは、歴史的な建物が立ち並ぶパリの街並みで最も異彩を放っていると思う。

名前の通り、フランスの大統領であったポンピドゥ氏が指揮をとって建設をしたもので、パリの近代化の走りとなった建築物であると言っても良い。

その後に大統領を引き継いだミッテラン氏が、ルーブルのガラスのピラミッドや新凱旋門/デ・ファンスなどを建設させるのだが、そんなパリの近代建築物の中でもやはり、このポンピドゥセンターの異彩ぶりには叶わないんじゃ無いかと思う。

 

 

好きな建築物では無いし、素敵だとも思わない。けれど何故か見たくなる。怖いもの見たさみたいな、何か心の奥底を揺さぶられるような感覚がある。

そんな不思議な美術館。

 

建築に関する物議はさておき、美術館としてもポンピドゥセンターはとても素晴らしいと思う。ピカソ、シャガール、ミロ、カンディンスキーなどを始め世界に名だたる芸術家の作品を、何と100,000点以上も所蔵している。ニューヨークの近代美術館MOMAの次ぐ世界第二位の所蔵数なのだそうな。

相当見応えがあるので、ぜひ時間をとって。

 

 

 

 

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